2007年11月20日

ICT活用の道しるべ

 教育工学研究協議会(JAET)の全国大会に参加しました。JAETはJapan Association for Educational Technologyの略、つまり教育工学研究を通して、教育の向上を目指す団体です。毎年開かれる全国大会では、ICTを活用した教育、情報教育の多くの研究発表や教育実践が発表されます。

◇旭

 今回の会場は千葉県旭市。銚子の近く、九十九里浜に面するところで、伊藤忠良市長があいさつで「駅を降りて、こんなところで大会が出来るのか、とお思いになったでしょう」(はい、思いました)と言うくらい鄙びたところです。ところが、ここで1984年に第10回の全国大会が開かれています。20年以上前、CAIもそんなに広まっていないころから、ICTに目を向け実践を進めていたわけで、すごい人はいるもんだと驚きました。

◇右往左往
 
 大会では、100を超える発表がありました。これを11の分科会で一斉に行います。1つの発表が15分、移動時間5分なので、参加者は時間割を手に、会場(旭市立中央小学校)を走り回ります。部屋を間違えて遅れたり、行ったら満員だったりと、右往左往しました。いろいろ聞きたいのに、効率よく走り回っても10分の1しか聞けないのですね。

 というわけで、聞いた発表は多くはありませんでしたが、その範囲で言えば、ICTをこう使ったら、こういう授業が出来ましたという単なる実践報告でなく、実践の意味付けや授業全体の中でのICTの活用の効果を意識した点を強く感じました。特に興味深かったのは、尼崎市立成文小学校の島田佳幸教諭の発表「情報活用能力の育成について〜デジタル画像の活用による教材化と実践〜」でした。

◇授業を見据える

 島田先生のグループは、デジタル画像を授業の場面やねらいに合わせて、どのように使ったら児童のどんな力を育てられるか明らかにする研究です。分析の方法が綿密です。デジタル画像の特性を「提示性」「加工性」「保存性」など6つに分類し、同時に授業の場面に即して「身につけさせたい力」を明確にして、授業の場面、場面で教員に必要な画像活用スキルと効果を示そうという意欲的な研究です。授業でのデジタル画像りようにつてい、目を凝らして見たというような研究です。15分の説明では、全容を理解できませんでしたが、この方法で多くの事例を収集、分析して提示すれば、多くの教員の参考になるのではないかと思いました。

 授業の内容も、授業のやり方も、ICTの機能も、児童生徒の習熟度や意欲もさまざまです。その多くの要素を考慮して、よい組み合わせを見つけなければ、よいICTの活用は出来ません。今は、熱心な先生が知恵や工夫、勘を動員して、ICT活用を実践している段階にあるように思います。ICTは使ってみたいけれど、知恵を絞り、工夫をし、勘を働かせる時間はない、あるいは、どこにどう使ったらいいのか分からないから使えないという先生が多いのではないか、と思います。島田先生のグループの調査では、デジカメを使える、デジタル画像をパソコンに取り込める先生は結構いるという印象を受けました。今やICT機器は身の周りにあり、生活では使っているのだから、当たり前とも思いますが、「授業で」となると、身構えたり、躊躇したりする先生が多いのでしょう。

◇やればできる

 ちょっと背中を押してあげればやれる、やればできるという先生が増えていると思います。その時、こんな授業では、この機能をこんな風に使うと、こんな効果が期待できるという案内があればいいのではないかと思います。単元とねらいなどを入力すると、お勧めの使い方が出てきて、実践事例の報告書やビデオも見られる、そんなデータがあれば面白いのにと思います。それを自分の授業に合わせてアレンジして使ってみる。初めての先生はまず、真似してみて、徐々に自分のものにしていくということでもいいでしょう。道しるべがあれば、新しい道を行く不安や負担は少なくなります。

 島田先生のグループの研究と実践は、そんな期待を抱かせるものでした。
posted by 平野秋一郎 at 14:01| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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