2007年03月08日

デジタル教科書

◇研究会
 将来の教室環境やデジタル教科書などを検討する「教育におけるICTの活用研究会」が7日、開かれました。研究者や教科書会社の担当者約30人が参加して、熱気がある研究会でした。

 デジタル教科書は、教科書の本文や図表、挿絵などをデジタル化してパソコン画面で見たり、それをプロジェクターで拡大投影して見せたりできるICT教材です。教科書に収録されていない写真、図、グラフや発展的な教材を載せたり、教科書の一部を拡大したり、本文を朗読したり、図形やグラフを動かしたりといろいろな機能を持っています。その機能を授業の適切な場面で適切な方法で使えば、子どもたちの関心や意欲を高めたり、理解を促進したりすると期待されています。

 私は初めてデジタル教科書を見たとき、「デジタル化しただけじゃん」という感じしか持ちませんでした。電子情報ボードを初めて見たときのような驚きや「これで授業が変わる」という期待感はありませんでした。しかし、自分でいじったり、いくつかの授業実践を見たりしているうちに、だんだん面白さや可能性が見えてきました。要は使い方なのです。ICTは使ってなんぼ、の世界です。ICTが何かをしてくれるわけではなく、使った人にメリットをもたらすものです。そこらへんを勘違いしている先生がまだいるようですが。

◇デジタル教科書の紹介

 研究会では光村図書の国語、大日本図書の算数、学校図書の数学、東京書籍の英語と社会の教科書が紹介されました。

 光村図書の国語では、小学校1年生の物語「くじらぐも」を読む授業と、3年生が「ありの行列」という文章を読んで、作品の組み立てを理解する授業のビデオが紹介されました。1年生の授業では、先生は物語のリフレイン部分に注目させながら、子どもたちに天空を意識させ、挿絵を使って想像力を刺激します。そして、子どもたちに自分が空に上った気持ち、空から大地を見る視点を持たせていました。子どもたちが想像力の階段を使って高みに上る途中、「こわい」と言ったのには驚きました。怖いと思うほどに高さを感じていたのです。それくら物語の中に入っていたようです。感心しました。とても授業の上手な先生でしたが、紙の教科書と先生のテクニックだけでは、子どもたちをそこまで物語に入り込ませるのは難しいのではないか、ICT活用の力だろうと思いました。

 大日本図書の算数では、教科書の一部分を拡大して、そこに書き込みをする機能などが、学校図書の数学では図形を動かしたり、アニメーションで文章題を理解させたりする多くの機能が紹介されました。東京書籍の英語では、英文を朗読する、英文の一部の単語を隠す、単語カードの提示などの機能、社会科では資料や写真の提示機能が紹介されました。

◇議論

 デジタル教科書の利点、効果について、光村図書の担当者は「明日の授業から使えるコンテンツとして普及している」「使った先生方からは、子どもたちの集中力が高まった、特に低位層の児童の学力向上の効果があった、先生方の教材研究が進んだという意見があった」と話しました。東京書籍からは「1回の授業で生徒は20回以上音読し、30回以上リスニングした、と話した」という授業を行った先生の言葉が紹介されました。

 学校図書の数学はグラフや図形など「円の面積」「比例反比例」「図形」「一次方程式」など単元に応じてアニメーションや動かせる図形、作図ツールなどたくさんの機能が収められていましたが、委員長の山西潤一・富山大学人間発達科学部長は「提示だけに終わって、子どもの考えるプロセスの支援になっていないのではないか」という疑問を投げかけ、理解の過程を支援する機能、試行錯誤が出来る機能などを求める意見など、さまざま意見がありました。学校図書の担当者は「多くの機能を用意して、先生が取捨選択して使えるように考えた」などと答えました。

 また、教育内容の精選の結果、教科書が薄くなっている現状を指摘し、デジタルなら必要な教材や資料を盛り込めるのではないかという意見も出ました。山西委員長は「デジタル教科書のさまざま可能性を先生や父母に理解してもらうことが普及のカギ」と指摘しました。

◇思ったこと

 デジタル教科書には、「写真や図など理解促進に必要な資料をすぐに提示できる」「図形を回転させたりして子どもたちの想像力や推理力を支援する」「子どもたちの集中力、意欲を高める」――などの効果は確実にあると思います。デジタル教科書を使った授業で、子どもたちの顔を見ていて、そのことを感じます。しかし、デジタル教科書を使えばいいというものでは、もちろんありません。デジタル教科書が普及し活用されるには、多くの授業研究が必要だと思います。もっと多くの先生に試してみてもらうと同時に、PTAの会合などで父母に見てもらうことが大事でしょう。良いものだと分かれば、父母は強力な圧力団体になります。その力を生かしましょう。

 問題は、デジタル教科書の作り方、効果は教科や単元によって大きく違うことです。研究会では国語、算数・数学、英語、社会が紹介されましたが、「提示機能」が主の社会や国語、「繰り返し学習機能」が大事な英語、「思考の過程を支援する機能」の算数・数学などで、作り方は違ってくるでしょう。「思考の過程を支援する機能」をつくるのは、学習や思考についての理解が必要で、とても難しく、複雑なのだと思います。それを克服してよいデジタル教科書を作るには、たくさんの実践や実践に基づくアイデアが必要だと思います。

 そのためにはウェブを意識した取り組みが必要ではないでしょうか。ウェブ上にデジタル教科書を置いて、多くの先生に利用してもらえる仕組みがあれば、改良、改善が進むのでないかと思います。パッケージは活用に限界があります。ウェブにデジタル教科書を置いて、利用状況のログでランキングしたり、デジタル教科書コミュニティをウェブ上に作って意見を交換したり、先生方が機能を改良したり、新しい機能を付加したり、カスタマイズしたりといったことができれば、と思います。ソースの公開、著作権など多くの問題がありますが、ウェブ2.0的なアプローチを期待しています。
ラベル:小中高校
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posted by 平野秋一郎 at 14:15| Comment(1) | TrackBack(1) | ICTと教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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