2008年11月28日

理念なき教育理念

 驚きました。

 11月26日付けの読売新聞朝刊に、前橋市立前橋工科大学が、2008年度の学生便覧に載せた「教育理念」が岡山大学の理念を無断でそのまま引用したという記事がありました。江守さんという学長が「作成者が忙しさから引用してしまったと認識している。学生に申し訳ない」と話したと書かれているから本当なんでしょうね。

 あきれて何も言えませんね。

 いま大学は危機です。少子化につぶされないよう、誰でも入れるようにいろんな入試タイプを編み出して、恥も外聞もなく学生をかき集めた。その結果、大学で学ぶに足る学力も意欲も、学ぶ目標もない学生が集まって困っている。理念なき学生集めの結果です。

 大学の先生は見栄っ張りなのか、建前好きなのか、足元を見ようとせずに高邁な理念やら研究至上主義を標榜している人が多いように見えます。その割には、経営的な判断から、理念なき学生集めに走る。

20年も前に、国公立大学の受験機会の複数化が行われました。AグループだのBグループだのという仕分けですね。その時、学長たちは東大と同じAに入ろうと右往左往しました。「わが大学に入りたいという意思を持つ学生がほしい」と建前では言いながら、東大と離れたら大変と、学生集めに都合の良い位置を占めようと大騒ぎでした。そこには自分の大学を良くすることで学生を集めるようという矜持、独自の教育理念を感じさせるものはありませんでした。

 だから今回のことも、やっぱりね、という感じです。それより学長の「作成者が忙しさから引用してしまったと認識している」という他人事のような発言にあきれますね。忙しければ盗作してもいいのでしょうか。それが言い訳になると思っているらしいのが、こっけいですね。著作権保護の意識すら微塵もない学長、だから教員も理念どころか、遵法意識すらないのだなと納得したことでした。


ラベル:大学 教育
posted by 平野秋一郎 at 19:11| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月25日

ロザン宇治原の発見

 クイズ番組で物知りとして人気急上昇のロザン宇治原さんが、11月21日付けの読売新聞夕刊に「人に話すのが暗記法」と書いていました。おすすめの暗記法は読書でなく、「人に言うこと」と言っています。

 宇治原さんは、芸人仲間と移動しているバスの中で、仲間に「クイズ出して」と言われて、次々と問題を出しているそうです。そこで気付いたのは「覚えているから人に言ってるのではなく、人に言ってるから覚えてるのでした」と書いています。

 やはり、と納得した思いでした。というのは、大学のeラーニングを取材していて、学生にコンテンツ作りを手伝わせると学生の理解度が上がると、いくつかの大学で聞いたからです。テスト問題を作らせる。すると学生は、問題が間違ってはいけないと賢明に調べるのだそうです。その学生もそのことは一応、学習している。でも、間違わないためには、確認し、理解しなければならないと考えたということです。要するに、学生は、先生の出す試験には答えられるが、正確には理解していない、あるいは理解している自信がない、つまり身に付いていないということです。

 自分を振り返れば、そうだな、と思います。分かっているつもりでも、ちゃんと説明せよ、と言われると、突然あやふやなことに気付くというのはよくあることです。学習では、単に知識を頭に詰め込むのでなく、事柄を理解して、なおかつ、その事柄のポイントを認識して、自分の頭の中に事柄を再構成しなければいけないのですね。eラーニングのコンテンツ作りを任せると、学生は自分の理解の不確かさを認識して、学ぼう、いや、理解しようとします。頭を使って再構成します。頭に入ります。

 ある大学の先生は「問題作成ソフト」を作って学生に問題を作らせたら、学力が上がったと話していました。大学生に高校や中学で教えさせると、学力や理解度が上がるという例はたくさんあります。大学生だけでなく、小中高校でも、後輩、年下に教えさせると、学習効果があるという話はいくつも聞きました。「教えることが最高の学び」と言う大学の先生もいます。
 
 「詰め込み教育」がよくないのは、暗記力を鍛えるだけで、知識が頭の中で再構成されないからですね。そういう知識は、あまり役に立ちません。医系大学の教授が「今の学生は知識があっても、それがつながらない。だから病気や患者の状態が理解できない」と嘆いていました。大学入試は18歳ころの、暗記力を試すものになっています。それでいいのかな?と思います。

 宇治原さんも、たくさん本を読んで勉強しているから、多くの問題が作れるので、そのことを忘れてはいけませんが、詰め込むだけで、表現しない教育・学習方法はダメなのでしょう。

 今の子ども、若者はコミュニケーションが下手とよく言われます。ゲームばかりで人と話をしないとも言われます。それは表現できなくなっていることでしょう。かなり、やばいのかもしれません。
posted by 平野秋一郎 at 20:01| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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